起業への第一歩❗️素晴らしい決断ですね。
さて、ビジネスを始める場合、個人事業主で始めるか、法人組織で始めるかという2つの方法があります。
さらには、法人組織の中で今回、「株式会社」と「合同会社」という組織でやっていく方法について述べてみます。
起業の「形態」選びは、今後の戦略や信頼性に直結する極めて重要なプロセスです。
税理士の視点から、個人事業主、法人(会社)、そして法人の代表的な2つの形態である株式会社と合同会社について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理して解説します。
1. 個人事業主で始める場合
まずは一人で、あるいは家族などの小規模でスタートする「個人事業主」のケースです。
メリット
手続きが極めて簡単: 税務署に「開業届」を出すだけで完了します。設立費用も0円です。
意思決定の速さ: 全ての決定権が自分にあるため、市場の変化に即座に対応できます。
会計処理の簡便さ: 法人に比べると帳簿付けがシンプルで、確定申告も(青色申告であっても)比較的スムーズに行えます。
デメリット
社会的信用の限界: 大手企業との取引や、銀行からの融資を受ける際に、法人に比べて審査が厳しくなる傾向があります。
無限責任: 事業で負った負債に対し、個人の財産(自宅や預金など)を投げ打ってでも全額支払う義務があります。
節税の幅が狭い: 所得が増えるほど所得税率が上がる(累進課税)ため、高収益になると法人の方が税負担が軽くなるケースが多いです。
2. 法人組織で始める場合
会社という「人格」を設立して事業を行うケースです。
メリット
高い社会的信用: 登記されていることで実体が証明され、採用活動や新規取引がスムーズに進みやすくなります。
有限責任: 万が一事業が立ち行かなくなった場合でも、出資した範囲内でのみ責任を負えばよいため、個人資産を守りやすいです。
税制上のメリット: 役員報酬を費用化できる、赤字を最長10年間繰り越せるなど、節税の選択肢が格段に増えます。
デメリット
設立コストと手間: 定款の作成や登記費用(数万〜数十万円)がかかり、手続きも複雑です。
維持コストの発生: 赤字であっても毎年「法人住民税の均等割(最低7万円程度)」を支払う義務があります。
事務作業の複雑化: 社会保険への加入義務や、複式簿記による厳密な決算報告が求められます。
3. 株式会社と合同会社の違い
法人組織を選ぶ際、現在の日本では「株式会社」と「合同会社」の2つの選択肢が主流です。
会社の中には、「合名会社」や「合資会社」というものがありますが、今はほとんど利用されません。「有限会社」は今はその設立はなくなりました。
法人組織には、この他に財団法人・社団法人やボランティア活動をする場合によく設立されるNPO法人(特定非営利活動法人)があります。
更に、特定の業種なのでその設立に資格が必要など厳しいものとして、社会福祉法人、医療法人、学校法人、宗教法人などがあります。
これらは一般的でないのでここでは省略します。
株式会社
日本で最も一般的で、信頼性が高い形態です。
特徴: 「所有(株主)」と「経営(取締役)」が分離しているのが基本構造です。
メリット
資金調達の多様性: 株式を発行して外部から投資を受けることが可能です。
圧倒的なブランド力: 「代表取締役」という肩書きは、ビジネスシーンで最も広く認知されています。
デメリット
設立費用が高い: 個人事業主で始めるのに比べて登記が必要です。そのため登録免許税や公証役場の手数料で、最低でも20万円程度は必要です。
運営の手間: 役員の任期ごとに更新登記が必要で、決算公告の義務もあります。
合同会社(LLC)
近年、外資系企業の日本法人やスタートアップで増えている形態です。
特徴: 「出資者=経営者」であり、より自由度の高い運営が可能です。
メリット
設立費用が安い: 株式会社を設立するのに比べると設立の費用は安いです。
公証役場での定款認証が不要で、登録免許税も安いため、6万円程度から設立可能です。
利益配分の自由: 出資比率に関わらず、貢献度などに応じて利益を自由に分配できます。
役員の任期がない: 更新手続きの手間やコストを削減できます。
デメリット
認知度がまだ低い: 一般消費者や一部の古くからの企業には、株式会社ほどのブランド力が浸透していない場合があります。
外部からの資金調達に不向き: 株式を発行できないため、上場を目指すような大規模な資金調達には向きません。
株式会社と合同会社との違い
株式会社は、所有株式数が多い人から決定権があるのに対して、合同会社は話し合いで決めることができます。
例えば、「配当金を多めに渡すので経営には一切、口を出さないでください」というように、経営について柔軟に決められます。
年配の方は、まだ合同会社は零細なイメージを持たれているかもしれませんが、40代くらい以下の人は設立費用の安さから合同会社で設立する人が多いですね。
ひとりで起業する場合は、基本的には経営面については変わらず、設立費用の問題だけとなります。
ワンポイントアドバイス
大企業の中には、取引をする場合、信用のため相手の会社に資本金が1,000万円以上であることを求められることがあります。
ここで、税制上のアドバイスですが、消費税は基準期間の売上高が1,000万円超の場合に納税義務者となります。
基準期間とは、開業2期前の事業年度を言います。つまり開業して2事業年度は消費税を納めなくても良いことになります。
しかし、これは中小企業に対する特例措置的な面がありますので、資本金1,000万円以上の場合には適用されません。
資本金1,000万円以上にすると、最初の事業年度から消費税を払わなければなりません。
社会保険料からのアドバイス
健康保険と厚生年金(社会保険)は、雇用主と被雇用者と半々ずつ負担することになっています。
株式会社や合同会社で始めると、設立初年度から社会保険に加入して、社会保険料を負担しなければなりません。
これに対して個人事業主の場合は、使用人が5人未満だと、社会保険の加入は任意とされ社会保険料の負担がなかったりします。
会社組織の方が社会的信用があるので、金融機関からの借入や人材の採用については、個人事業主より有利なります。
まとめ
特殊な事情がなければ…
「まずは低リスクで手軽に始めたい」なら個人事業主。
「将来的に人を雇い、大きく展開したい」なら株式会社。
「コストを抑えつつ法人格のメリットを享受したい」なら合同会社という選択が一般的です。
どのような形態で起業するかは、「あなたの現在のビジョンや、ターゲットとする顧客層はどのようなイメージでしょうか?」
それらを基に考えてはいかがでしょうか⁉️
